中国漫画配信プラットフォーム分布図
これまで幾つかの中国漫画配信プラットフォームの個別作品について紹介してきましたが、今日は趣向を変えてそれぞれの漫画配信プラットフォームが市場でどのようなポジショニングにあるか紹介したいと思います。
Analysysが公式発表しているデータを参考に、縦軸を“一人当たり平均使用時間(分)/日”、横軸を“一人当たり平均起動回数/日”、更に“2016年第3四半期の期間内におけるアクティブユーザー数(QAU:Quarterly Active Users)”をバブルの大きさで図示したのが、『2016年第3四半期:中国漫画配信プラットフォーム分布図』となります。
まだ本ブログで個別作品を紹介出来ていない漫画配信プラットフォームはさておいて、既に紹介済みの漫画配信プラットフォームを中心に見て行きたいと思います。
- 快看!・・・一人当たり平均使用時間、一人当たり平均起動回数、更にはQAUの全てにおいて堅調な成長を実現しており、アクティブ性の高い良質なユーザー基盤の拡大を実現しています。同期間内において720万人のユーザーが日毎に6回APPを起動し、起動すれば一人当たり平均で約1時間未満使用されるとのことです。他の漫画配信プラットフォームと比較しても、実に筋肉質なユーザー基盤を構築していることが分かります。
- 腾讯动漫・・・一人当たり平均起動回数では快看!より多少劣るものの、一人当たり平均使用時間においては遜色がありません。腾讯动漫は強大な腾讯(テンセント)エコシステムの一つの結節点であるため、同エコシステムのその他結節点からのトラフィック移管についても独自の優位性を持っています。同期間内においてQAUで200万以上の差を快看!に対してつけているのは、この辺りの相互作用が働いている結果ともいえます。
- 有妖气・・・一人当たり平均起動回数では、ざっくりと快看!の1/3、腾讯动漫の1/2と少々ユーザー基盤がアクティブ性に欠ける印象です。ただし、一人当たり平均使用時間では30〜40分台の実績となっているため、依然としてユーザーの粘着性を維持するコンテンツの提供が実現出来ています。事実、有妖气のオリジナル作品の映画化や企業コラボ等も複数実現されており、玉石混交の中国漫画配信市場においてはクオリティの高い作品を世に送り出す、クリエイティブドリブンの漫画配信プラットフォームとしての地位は未だ不動との印象です。
- 布卡漫画・・・中国漫画配信市場の黎明期にはトップを走っていたという布卡漫画ですが、近頃では強大なエコシステム系漫画配信プラットフォームや新進気鋭のベンチャープラットフォームの参入によりその地位が脅かされています。ユーザーのアクティブ性では中の下にポジショニングする結果となってしまっていますが、600万人程のQAUとユーザー基盤の規模では上位層に食い込んでいます。これら既存ユーザーに加え、新規ユーザーを如何に確保・維持していくか、今後の展開に期待です。
- 微漫画・・・参考としたデータに含まれていなかったため、今回は割愛とします。
如何でしたでしょうか。あるレポートでは中国漫画配信プラットフォームは大小合わせ20〜30も存在するといわれることがあれば、海賊版等を提供する漫画配信プラットフォームを数え入れるとその数は100をも超えるという業界関係者もいます。変化と競争が極めて激しい中国の漫画配信市場を正確に補足することは困難な前提として、あくまでも瞬間的なスナップショットとして上記まとめてみました。
それぞれの漫画配信プラットフォームがどのような領域に注力しているのか、海外提携をどのように展開しているのか、別の機会にまた紹介したいと思います。