ニーハオ!!中国漫画

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【アズールレーン(碧蓝航线)】収益構造徹底解剖!!

 ※中国漫画というトピックには関係ないかもですが、中国エンタメに対する理解を深めるには参考になると思います!是非ご一読下さい。

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 いつもチェックしている三文娯というサイトに興味深い記事があったので紹介させて頂きます。その記事なのですが、なんとあの『アズールレーン』の収益構造が細かに紹介された内容となっているのです。笑 運営元が公開する財務諸表を基に作成したものだと思うのですが、儲かってまんな~というのが率直な印象です。

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 二年分しかありませんが、先ずは売上高と地域別のシェアの推移ですね。17年度で約7.7億円の売上高を達成しており、感心させられるのが国内と海外の売上比がほぼ半々な点ですよね。今でこそPUBGや荒野行動等に代表される、日本でもバリバリ売れている中国産のモバイルゲームタイトルは珍しくありませんが、その先駆者となったのが『崩壊3rd』であり、『アズールレーン』なのではないでしょうか。もはや中国産を感じさせることなく、世界観から操作性に至るまで、緻密に各国市場にカルチャライズ・ローカライズされたプロダクトと運営がこのような結果を生む背景となっていることは想像に難くありません。

 18年度においては何れの数値も伸びており、特に売上高の約64%、これに占める海外地域シェアの83%の増加率は驚異的ですらあります。モバイルゲームのプロダクトライフサイクルが短縮化するトレンドにあるなか、運営開始後一定時間が経過しているにもかかわらず各種数値を伸ばしていくことに各パブリッシャーがどれだけ苦心しているか。この点からも如何に『アズールレーン』がユーザーのハートを掴んで離さないかを物語っています。

 次に上記数値のブレイクダウンを見ていきましょう。 

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 18年度の1月-6月迄の主要KPI一覧ですね。登録アカウント数でいうと、約1,300万の中国が日本の約570万、韓国の約53万を圧倒する結果となっていますね。登録アカウント数≒ダウンロード数と考えると、特に日本市場においては100万でも超えれば万々歳とされる現状において、大幅に業界慣行値を超える結果となっています。課金率も何れの国も10%を超えており、こちらの数値も理想的な形を取っています。

 圧巻なのがアクティブユーザー数です。中国においては上記半年間で約650万人であり、日本では登録アカウント数を超過する約580万人という驚異的な数値となっています。韓国も規模は小さいものの、アクティブ性の強いユーザーがプレイしていることが上記数値より読み取れます。

 更に新規登録アカウント数も伸びており、中国で約130万人、日本で約120万人、韓国では約53万人と、常に新規流入を継続している結果となっています。ユーザー獲得コストが上昇するトレンドにあるなか、一人当たりのユーザー獲得コスト(CPI)に幾ら要するかまでは記載がないものの、おそらくそれを補って余りある良質なユーザーが『アズールレーン』のユーザー基盤となっていることは、課金額や一人当たりユーザーの課金額からも見て取れます。

 日本における『ポケモンGO』の年間一人当たり課金額が約2,600円、アメリカで約770円、カナダで約760円というレポートもあることから、半年間の一人当たり課金額約940円の『アズールレーン』が如何に高単価ユーザーを引き付けているか自明です。年間に換算し直すと 940円×2=1,880円 となりますからね。

 

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 最後に、これだけの売上高を生み出す『アズールレーン』のビッグマネーがどのように分配されているのかを見てみましょう。ここからが本エントリーの肝となります。

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 意外なことに、『アズールレーン』の大元は二社のデベロッパーによるタイトルだったのですね。この二社のデベロッパーが開発したタイトルを、中国国内においてはお馴染みの【ビリビリ】が、日本市場向けには『崩壊3rd』でもお馴染みの【Yostar】が、韓国市場向けにはジャッキー・チェンの漢字名を逆さにしたような【龍成】というパブリッシャーがそれぞれ代理パブリッシングするスキームとなっているようです。

 それぞれの地域におけるパブリッシングライツに対するライセンスフィーだけでも、約1.13億円が二社のデベロッパーに支払われたようですね。レベニューシェアも売上高のレンジと、それぞれのレンジに対する料率が段階的に細かく規定されていますね。

 2019年2月の日本における売上が約6.7億円という数字になっているとのこと(https://www.bilibili.com/video/av45610942)なので、上記に当てはめると、両社デベロッパーがそれぞれ約2億円のレベニューシェアを手にする計算(※ストアの配信手数料は計算していません)となります。開発・運営コスト等は遥か以前にリクープしているでしょうから、極めて高い利益率を実現するタイトルとなったことが分かりますね。マーケティングコストを誰が負担するか等の細かい論点はあるにせよ、大人気の『アズールレーン』が如何にマネタイズしており、その売上高がどのように還元されいてるかを見て来ました。何かのご参考になれば幸いです。

 

PS:個人的に一番好きなキャラは【駿河】です。

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