ニーハオ!!中国漫画

面白かった中国漫画、気になる中国漫画、中国の漫画プラットフォームなどなどについて書き連ねるブログです。

【画神文化(MAGIC COMICS)】猫仙生

 長らく更新が滞ってしまいましたが、諸々落ち着いたので今日は新進気鋭の漫画CP、北京画神文化传播有限公司(MAGIC COMICS)について紹介したいと思います。

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 先ず、MAGIC COMICSの企業概要について簡単に紹介したいと思います。2016年に老舗ゲーム会社(※最近では映画やアニメ等、広くエンタメ領域における投資・事業展開を推進中)の完美世界(パーフェクトワールド)が100%出資する形で創立したのがMAGIC COMICSです。

 ちなみにパーフェクトワールドですが、以下のようなゲームをデベロップメントしたり、パブリッシュしたりしています。

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 IPゲームでいうと聖闘士星矢とかファイナルファンタジーとかが含まれてますね。

 話をMAGIC COMICSに戻します。2017年5月頃より、短編・長編含め、ファンタジー、冒険、スポーツ、熱血、ラブストーリー、コメディ等と様々なジャンルの漫画作品をオフィシャルの微博アカウントで意欲的に公開しています。

Sina Visitor System(※オフィシャルアカウント)

 そんな新進気鋭のMAGIC COMICSですが、今日紹介したいのは、発表後瞬く間に閲覧数が1.8億を突破した『猫仙生』という作品です。たった4話発表されただけで1.8億なので、単純計算で1話当たり4,500万閲覧というとんでもない数字となりますね。改めて中国市場の規模感と速度感が如何に凄まじいか思い知らされますね。では『猫仙生』とは一体どんな作品なんでしょう?

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 「死にそうだ〜」と言っています。乾いた渓谷で水も底をつけば、そう言いたくなる気持ちも分かります。

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雷鳴です。

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 恵の雨に喜んだせいか、「天は我を見放さなかった!」とテンションが上がっています。

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 喜びも束の間、雷に打たれてしまいました。

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 黒焦げです。

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 街を発見したようです。

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 《史記・天官書》によると、海旁に蜃気楼あり、広野に気欠けん。とのことです。古語の日語訳はハードルが高過ぎます。

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 街には活気が溢れています。

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 「蜃気楼の街は宛ら本当の街のようだ。蜃気楼だということを知っていなければ、まんまとこの幻想に騙されるところだったな」、「この美味しそうな匂いまで本物とそっくりだ」、「う、うん。全部嘘だ、嘘だ、嘘だ、、、」と蜃気楼と格闘していると、目の前に美女が現れました。

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 「どうせ全部嘘なんだから、少しくらい触ってもなんてことないよな〜」と軽いエロシーンも。美女が「この泥棒!失せちまえ!」と叫びます。

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 「全部読んだ本のせいだ。蜃気楼なんてとんでもない、誰がこんな痛い目に会わなきゃならないんだ。とっとと腹ごしらえして先を急ごう」反省しています。

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 「すみません。お勧めの料理を何皿から持ってきて下さい」、「おや、この人も学を探求している人かな」

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 「同志よ、こんな地で出会ったのも何かの縁。良かったらこっちで一緒に食べませんか。よければ私がご馳走しますよ」、「その必要はない」とせっかくの誘いを無碍に断られました。

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 お会計をしようと着物に手を入れると、肝心のお金が懐に入っていないようです。

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 「誰も俺に注意を払っていないようだ。ここはずらかるとするか。いやいや、だめだ、仮にも俺は学を探求する者なんだ」、「まさかお金が無いんじゃないだろうね?」、「いや、あの、ち、違う、その」、「兄弟!この飯代は俺の奢りとしてやるよ」と偉く後ろのテーブルの兄ちゃんの気前が良いようです。

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「二人とも馬鹿だな」、「兄弟、俺と一緒に飲まないか?いいもん見せてやるよ!そのかわり驚くなよ」

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 「ここは蜃気楼村なんだ。お前が見ている街人や部屋は全部蜃気楼の妖怪の体の一部で出来ているんだ。この蜃気楼は、妖怪が捕食しているときにしか見れない。正にそれがいまこの瞬間なんだ。声を上げるなよ。一度蜃気楼の妖怪に気付かれたら喰われちまうからな」

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 「なんてことだ。早くここから逃げよう!」、「だめだ。俺にはまだやらなきゃならないことがあるんだ。ここから出るとき、外にいる街人に見つかるなよ」

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 料理も蜃気楼の妖怪の一部であることに気付き、吐いてしまいます。

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 「おいおい、急にどうしたんだ吐いちまって」優しい言葉をかけてきた気前の良い兄ちゃんもどうやら狼のような妖怪でした。

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 「うわああああああああ」、「馬鹿者が」、「逃げるな」

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 外に出たら妖怪だらけでした。

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 蜃気楼の街がパカっと閉じようとしています。

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 セクシーそうな女性が「おやおや。少し到着が遅れたようだ、、、」と意味深なことを言い残しました。

 

 如何でしょう。この作品を漫画と定義していいかどうか、その辺りの議論はさておいて、4話の配信で瞬く間に1.8億という閲覧数には納得出来る部分もあります。理由としては以下の3点が挙げられます。

 

 1.画風

  水墨画風の原画により、中国色の強い世界観を確立したこと

 2.運営

  メインとしてWechatや、微博における連載+漫画配信プラットフォームでの拡散

 3.マーケ/プロモ

  オタクKOL(キーオピニオンリーダー)によるプレビューによる読者獲得

 

 2.と3.については極めてモバイルゲーム的な手法ですよね。作品の良さに加え、運営、マーケ/プロモについても工夫を凝らしたことが1.8億という閲覧数を実現したんでしょうね。日本の漫画と比較出来ないくらい新しいスタイルに仕上がったのが『猫仙生』ですが、日本の読者はこの作品をどう感じるのでしょうか?

 

<ニーハオ!!中国漫画>的レビュー

 ★★★☆☆:イラストデザイン・・・新奇性はあると思います。

 ★★★☆☆:ストーリー構成・・・歴史系ファンタジーとでもいうのでしょうか。

 ★★☆☆☆:キャラクター設定・・・何人かキャラ出てきましたが、個性は曖昧。