ニーハオ!!中国漫画

面白かった中国漫画、気になる中国漫画、中国の漫画プラットフォームなどなどについて書き連ねるブログです。

【テンセントアニメ】配信タイトル課金ランキング

 昨日更新しました、【快看!】配信タイトル課金ランキングに引き続き、同様の形式で今回は【テンセントアニメ】の配信タイトル課金ランキングを見てみたいと思います。

 ランキングの見方については前回の【快看!】配信タイトル課金ランキングに詳述しましたので、見方を確認したい方はそちらをご参照下さい。

 

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 早速ですが、上記が【テンセントアニメ】配信タイトル課金ランキングの一覧表となります。快看!のランキング一覧表と比較すると、20週連続でランクインしているタイトル数が少なく、このことはタイトルのランクインに係る流動性が高いことを示すものであると考えることが出来ます。

 20週連続でランクインしているのは第1位のタイトル『灵契』のみであり、以下は18回や16回とランクイン回数が分散された結果となっています。やはり、前回の【快看!】配信タイトル課金ランキングと同様、中国語のタイトル名をテキストで示されても想像が湧かないかと思いますので、ランキングのビジュアルを添えた一覧を以下に掲載します。先ずは1~10位までのタイトルです。

 ぱっと見で分かるのは、【快看!】配信タイトル課金ランキングと比較して、圧倒的に男性向けタイトルが多く分布しています。特に第4位の『尸兄』はホラージャンルでもあり、特に毛色の異なるタイトルのランクインとなっております。

 

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 第5位の『一人之下』については、原作のコミックスが『少年ジャンプ+』で配信されたり、2016年にはTokyo MXでアニメ放送もされている、テンセントの肝入りIPとなっています。日本における認知度や人気等については触れるまでもありませんが、実はこのような類のタイトルって他にもたくさん存在したりしています。別の機会に整理してみるのも面白いかも知れません。ご期待を。

 第1位の『灵契』はファンタジーとコメディ要素が融合されたタイトルであり、良くある中国的な成長譚とでもいう内容のものです。

 特筆すべきは、第7位の『师傅又在撩我』というタイトルですね。直訳すると、『師匠がまた僕にちょっかいをかけてくる』という意味であり、表紙からもお分かりの通り、ソフトBL的な世界観なんですね。そっち系ではないのですが、男性向けタイトルが並ぶランキングにおいて、ソフトBLがランクインするということは、一定数の男性BLユーザーが中国にも存在するということを物語っていますよね。絵の塗りやタッチは女性向けに見受けられるのですが、中国では男性もこういうアンニュイが好きだったりするのでしょう。ここでも、中国における新たな商機会を創出する可能性を秘めた、日本が得意とするコンテンツジャンルを見出すことが出来ましたね。

 

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 お次は11位~20位のランキングです。15位の『三界厨房』は読んで字のごとく、グルメ漫画タイトルですね。食戟のソーマをより現代的な世界観設定に用いた中国グルメ漫画なのでしょうか。継続してランキングを観察しておりますが、グルメ名系のランクインが確認出来たのは初めてかも知れません。

 更に面白いのは、17位の『从今天开始当城主』(『今日から城主になる』)、18位の『我在异界当乞丐』(異世界で乞食になる)のような、小説家になろうを彷彿とさせる異世界転生系のタイトルがランクインしていることです。それとなく表紙も角川や電撃を連想させる仕上がりとなっております。

 19位の『孤鸿』も表紙の通り、ソフトBLですね。しかも中国要素が満載された、武侠ソフトBLです。日本で言う、町奉行BLのようなノリですかね。中国でもこれらのジャンルが公認され、日本のハードなやつでビジネスが出来る日がそう遠くない未来にやってくるかも知れませんね。ウホッ。

【快看!】配信タイトル課金ランキング

 中国で最も勢いのある漫画APPを運営する快看!で配信されているタイトルの課金ランキングをまとめたので、下記にシェアします。

 こちらのランキングですが、直近20週において、各週のチケット獲得Top10ランキングを基に整理した一覧となります。週次毎に更新されているチケット獲得Top10ランキングを直近20週分まとめて数値化したことに加え、直近20週で各タイトルが何回チケット獲得Top10にランクインしたかをまとめたものとなります。

 チケットが何を意味するかですが、ユーザー(=読者)が課金して購入する、あるいはAPP内における各種ミッションをクリアすることで入手出来る仮想アイテムであり、ユーザーがお気に入りのタイトルや作家に当該チケットを消費することで、タイトルや作家側はこの数量を基に成果報酬としてプラットフォーム側に収益配分を請求することが出来るんですね。ですので、当然のことながらチケットが多ければ多いほどタイトルや作家の収益は増えていきます。

 

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 上記がランキングとなります。例えば、ランキング第1位の『闪婚总裁契约妻』というタイトルの見方ですが、直近20週にわたりチケット獲得Top10ランキングに20回ランクインしていますから、直近20週において毎週チケット獲得ランキングのTop10に入る人気タイトルですよ、ということとなります。

 このタイトルと、ランクインの回数だけじゃよくわからんと、突っ込まれそうですが、このランキングから得られる洞察としては、快看!において配信されているタイトルに占める人気タイトルのシェアが高く、課金されているタイトルが一部に偏っていますよということなのです。このランキングから、この重要なトレンドが読み取れればそれでOKです。

 タイトルも中国語だし、どんなタイトルやねんとお思いの方、ご安心下さい。下記にそれぞれの表紙もつけた参考のビジュアルキャプションを掲載させて頂きます。

 

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 こちらが上位10タイトルのビジュアルです。ユーザーの70%強が女性なため、当然といえば当然ですが、軒並み女性向けなタイトルがランクインしていますね。別の機会に譲りますが、珍しく男性向けタイトルでもある第2位の『斗罗大陆』は、最近中国内においてその著作権帰属をめぐって裁判沙汰になり、やっとこさ帰属先が落ち着いたというドタバタ劇も繰り広げられていたりします。

 

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 こちらが20位までのタイトルのビジュアルです。全体を通して感じることは、各タイトルの顔とでもいうべき表紙において、これまた画一的に主人公×ヒロイン、主人公、主人公×主人公構成のビジュアルで統一されていることです。日本の漫画表紙とはやはり大きく異なる訴求ポイントが中国にはあるのだと感じさせらます。

 また、主人公×主人公というジャンルがランクインしていることも興味深いです。つまり、BLタイトルが中国でも売れている?!、ということです。ぱっと見で認識頂けるかと思いますが、15位にランクインした『致命的诱惑』と、20位の『在那尽头』ですね。致命的誘惑なんて、そのままですよね。この2タイトルも、今風の頭髪やファッションを淡い塗りで仕上げた、何とも女性受け、いや、世代的には女の子受け?しそうなテイストの仕上がりとなっていますよね。

 交わる内容は中国では配信出来ませんが、優れたBLタイトルやGLタイトルなんていうのは日本にも山ほどあるはずですので、もしかしたら程度の加減が担保された日本の当該ジャンルタイトルは中国における商機を創出するコンテンツに成り得るのかも知れませんね。

主要オンライン・リーディングAPP MAU規模推移

 新札の1万円券にも採用された渋沢栄一の『論語と算盤』を読んでいるせいか、俄然ブログ更新の動力が尽きない管理人です。良き習慣を培うことで世のため、人のためというような一説も『論語と算盤』のなかで説かれており、なるだけこれに倣いたいと思います。

 本日ご紹介したいのは、昨今の中国における主要なオンライン・リーディングAPP(モバイルアプリ)のMAU規模推移です。主要なオンライン・リーディングですが、オンライン小説や漫画アプリ、日本でも最近CMで見かけるオーディブルに代表されるオーディオエンタメや、Yahoo知恵袋のようなオンラインQ&A等々のサービスが含まれます。

 カテゴリーがごちゃ混ぜとなっているのは、当該一覧に登場するモバイルアプリが各カテゴリーにおけるトップサービスを抜粋したものとなっているのが理由となります。一覧を見て直感的に見て取れるのは、また、最近の中国の凡その業界に共通する傾向として、何れのサービスも凄い勢いで成長していることです。

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 オンライン小説では【掌阅】というサービスが、中国市場における同カテゴリーのトッププレイヤーとなるようです。2018年12月のMAUが約7,300万という、驚異的なアクティブなユーザー規模を実現しています。同サービスにおいては無料・課金による小説コンテンツに加え、一部コミックスを閲読することも可能となっております。日本コンテンツとの関係でいうと、少し前に村上春樹の『騎士団長殺し』が先行配信されていました。

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 ちなみにこちらの【掌阅】はAPPやウェブサイトでコンテンツをサービスするのみならず、Kindleのようなハードも製造・販売しています。

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 上記のモデルだと1.53万円程度なので、Kindleと比較して少し割高かという印象ですかね。

 続いての【喜马拉雅FM】ですが、下記が日本版のオフィシャルサイトとなります。正にオーディブル、アップルでいうPodcastのようなサービスで、本の読み聞かせアプリですね。日本では確か2017年9月頃にリリースされたと記憶しています。

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 また、下記は中国版のオフィシャルサイトのビジネスジャンル・無料コンテンツのランキングページですが、どうやら1位は日本に関する内容となっています。これはこれで気になりますね。

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 こちらも対前年比で約21%の成長を実現しており、MAUも約6,700万というとんでもない規模に達しています。アメリカでオーディブルが流行したのは、何でも通勤・通学等における運転時間を有効活用する層が厚く、ハンズフリーで彼らの移動時間に効果的に入り込むことが出来たからだという分析を過去に目にしたことがあります。都市部はさておき、中国でも2級、3級以下の都市でアメリカと同じような現象が巻き起こっているのでしょうか。合理的な民族なので、もしかしたら都市部でも、エンタメはハンズフリーという層が一定存在するのかの知れません。ここら辺については、もう少し突っ込んで分析しても面白いかも知れません。

 【快看!】については過去の記事でも複数回紹介しているので、ここではスキップしたいと思います。まあ、漫画アプリでは抜群のトッププレイヤーということですね。

 

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 続いての【知乎】も面白いです。例えば経済学ジャンルのトップページでは以下のようなトピックがUGCの形式で議論されています。約10万のトピック数に対し、約1,100万人のフォロワーが付いてます。気になるのは、右の優秀回答者にいる司馬懿でしょうか。

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 純粋なコンテンツ消費というより、主体的にコンテンツを創作する姿勢がユーザーに必要とされることや、知識の有無も当該サービスを利用する前提となるため、その他と比較してユーザー規模は小さいですが、とはいえ約4,000万人という規模です。それだけ、種々のトピックを議論することが好きな人が多いのでしょう。

 【米读小说】は2018年6月にリリースされたばかりのサービスですが、約半年でMAUを約2,700万人に伸ばしていますね。以下がアプリのトップページです。

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 アプリからゲームをプレイすることも出来るようです。

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 日本と検索すると、下記のようなコンテンツがヒットしました。日本産のコンテンツは無さそうです。

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 一見すると、その他小説アプリと大きな差はないものの、何故このような勢いで伸びているのか、これについてもまたしっかりと分析すると面白い結果が得られるかも知れません。

 【微博动漫】についても過去に紹介したので、ここではスキップとさせて頂きます。

 

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 さあ、いよいよラストの【樊登读书会】です。このサービスが今回の一覧に含まれたのは、おそらくその460%という驚異的な成長率ゆえでしょう。

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 こちらがアプリのトップページです。正直良くあるUIです。

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 こちらが起業カテゴリーのランキングページです。『リーンスタートアップ』とかイーロン・マスクの本もランクインしていますね。おそらく、バラマキによるインセンティブや、純粋にバズってこれだけの成長率を実現したものと推測しますが、これについても後日分析してみたいと思います。

 如何でしたでしょうか。少し長くなってしまいましたが、本エントリーがいまの中国のオンライン・リーディングAPPについての理解を深める一助になれば幸いです。

【アズールレーン(碧蓝航线)】収益構造徹底解剖!!

 ※中国漫画というトピックには関係ないかもですが、中国エンタメに対する理解を深めるには参考になると思います!是非ご一読下さい。

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 いつもチェックしている三文娯というサイトに興味深い記事があったので紹介させて頂きます。その記事なのですが、なんとあの『アズールレーン』の収益構造が細かに紹介された内容となっているのです。笑 運営元が公開する財務諸表を基に作成したものだと思うのですが、儲かってまんな~というのが率直な印象です。

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 二年分しかありませんが、先ずは売上高と地域別のシェアの推移ですね。17年度で約7.7億円の売上高を達成しており、感心させられるのが国内と海外の売上比がほぼ半々な点ですよね。今でこそPUBGや荒野行動等に代表される、日本でもバリバリ売れている中国産のモバイルゲームタイトルは珍しくありませんが、その先駆者となったのが『崩壊3rd』であり、『アズールレーン』なのではないでしょうか。もはや中国産を感じさせることなく、世界観から操作性に至るまで、緻密に各国市場にカルチャライズ・ローカライズされたプロダクトと運営がこのような結果を生む背景となっていることは想像に難くありません。

 18年度においては何れの数値も伸びており、特に売上高の約64%、これに占める海外地域シェアの83%の増加率は驚異的ですらあります。モバイルゲームのプロダクトライフサイクルが短縮化するトレンドにあるなか、運営開始後一定時間が経過しているにもかかわらず各種数値を伸ばしていくことに各パブリッシャーがどれだけ苦心しているか。この点からも如何に『アズールレーン』がユーザーのハートを掴んで離さないかを物語っています。

 次に上記数値のブレイクダウンを見ていきましょう。 

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 18年度の1月-6月迄の主要KPI一覧ですね。登録アカウント数でいうと、約1,300万の中国が日本の約570万、韓国の約53万を圧倒する結果となっていますね。登録アカウント数≒ダウンロード数と考えると、特に日本市場においては100万でも超えれば万々歳とされる現状において、大幅に業界慣行値を超える結果となっています。課金率も何れの国も10%を超えており、こちらの数値も理想的な形を取っています。

 圧巻なのがアクティブユーザー数です。中国においては上記半年間で約650万人であり、日本では登録アカウント数を超過する約580万人という驚異的な数値となっています。韓国も規模は小さいものの、アクティブ性の強いユーザーがプレイしていることが上記数値より読み取れます。

 更に新規登録アカウント数も伸びており、中国で約130万人、日本で約120万人、韓国では約53万人と、常に新規流入を継続している結果となっています。ユーザー獲得コストが上昇するトレンドにあるなか、一人当たりのユーザー獲得コスト(CPI)に幾ら要するかまでは記載がないものの、おそらくそれを補って余りある良質なユーザーが『アズールレーン』のユーザー基盤となっていることは、課金額や一人当たりユーザーの課金額からも見て取れます。

 日本における『ポケモンGO』の年間一人当たり課金額が約2,600円、アメリカで約770円、カナダで約760円というレポートもあることから、半年間の一人当たり課金額約940円の『アズールレーン』が如何に高単価ユーザーを引き付けているか自明です。年間に換算し直すと 940円×2=1,880円 となりますからね。

 

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 最後に、これだけの売上高を生み出す『アズールレーン』のビッグマネーがどのように分配されているのかを見てみましょう。ここからが本エントリーの肝となります。

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 意外なことに、『アズールレーン』の大元は二社のデベロッパーによるタイトルだったのですね。この二社のデベロッパーが開発したタイトルを、中国国内においてはお馴染みの【ビリビリ】が、日本市場向けには『崩壊3rd』でもお馴染みの【Yostar】が、韓国市場向けにはジャッキー・チェンの漢字名を逆さにしたような【龍成】というパブリッシャーがそれぞれ代理パブリッシングするスキームとなっているようです。

 それぞれの地域におけるパブリッシングライツに対するライセンスフィーだけでも、約1.13億円が二社のデベロッパーに支払われたようですね。レベニューシェアも売上高のレンジと、それぞれのレンジに対する料率が段階的に細かく規定されていますね。

 2019年2月の日本における売上が約6.7億円という数字になっているとのこと(https://www.bilibili.com/video/av45610942)なので、上記に当てはめると、両社デベロッパーがそれぞれ約2億円のレベニューシェアを手にする計算(※ストアの配信手数料は計算していません)となります。開発・運営コスト等は遥か以前にリクープしているでしょうから、極めて高い利益率を実現するタイトルとなったことが分かりますね。マーケティングコストを誰が負担するか等の細かい論点はあるにせよ、大人気の『アズールレーン』が如何にマネタイズしており、その売上高がどのように還元されいてるかを見て来ました。何かのご参考になれば幸いです。

 

PS:個人的に一番好きなキャラは【駿河】です。

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愛動漫:2018年度売上高15億円 / 純利益2.6億円

 またまたブログの更新が滞ってしまいました。おおよそ四半期ぶりの更新となります。継続的に頑張りたいと思う反面、怠け者精神との闘いになることは避けられず、ましてや動画だゲームだ本だ、これだけ娯楽に溢れていると、どなたに読んでいただけるかも分からないブログを更新するには、心底強い意志が必要になるのだなと痛感しております。いやはや。

 とはいえ、中国漫画に関するトピックについては広く日本の皆さんにもご紹介したいという探求心に衰えはありませんので、四半期ぶりにキーボードをタイプさせて頂く運びとなりました。引き続き、お付き合い頂けますと幸甚です。

 タイトルにもあります通り、本エントリーでは幅広く漫画コンテンツサービスを展開する愛動漫についてご紹介したいと思います。先ずは、愛動漫のポジショニングについて、簡易概念図を掲載致します。

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 日本で言う所のKDDIとかSoftbankのようなキャリアの一つに中国電信という企業があります。その中国電信の傘下に、Besttoneという生活に必要とされる情報提供並びにあらゆる予約サービスを提供する子会社があります。今回紹介する愛動漫はそのBesttoneの傘下にポジショニングしています。

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 愛動漫のオフィシャルHPにもある通り、愛動漫は漫画、アニメ等を始めとする各種コンテンツをユーザーに提供するプラットフォームとして機能していることが分かります。本エントリーでは、この愛動漫の業績がどうやら良いらしいことを紹介させて頂きたいのです。

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 先ずは主要KPIです。要はアニメの視聴や漫画の閲読のために6,400万くらいのユーザーがいて、うち200万くらいは月に1度以上サービスを利用し、そのうちの約150万人はコンテンツに対して対価を支払う意向があることが分かります。大手漫画配信プラットフォームでも、課金アンロックによって章・節を閲読するには0.6~0.8元の料金設定がなされていることを考慮すると、愛動漫の全てのユーザーは毎月13~15話のコンテンツに対して継続して課金していることになります。

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 続いて、主要セグメント別の近年の売上高とシェアの推移です。アニメ視聴・漫画閲読とは読んで字の如く、課金にほるコンテンツサービスを指します。IP運営とはオリジナルIPの制作から商品化までを含む、バリューチェーンの上流から下流まで一気通貫にて展開するタイトルからの売上高を指します。公開されたデータの関係上、2016年の9月迄のデータとなりますが、基本的には右肩上がりの成長を実現しています。

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 こちらが、愛動漫が販売する各種サブスクリプションサービスの売上Top10のランキングです。NetflixやHulu等のシンプルなサブスクリプションメニューと比較すると、実に多様なオプションが用意されているなという印象ですね。おそらく細分化するユーザーニーズと、多極化するユーザーの可処分所得に合わせたものと考えられます。

 複数の大手漫画配信プラットフォーマー赤字経営を続け、マネタイズに向けて厳しい経営を続けているなか、愛動漫の営業成績に目向けると業界内においては実に好調な推移をしていることが確認出来ました。中国電信という通信キャリアのトラフィックを獲得出来る優位なポジショニングにあることに加え、上記で確認した通りの多様なメニューをユーザーに提供していることが、愛動漫の好調の基盤なのかも知れません。

中国漫画配信プラットフォーム別作品ランキング:2018年11月23日版

 もう既に1年以上前になりますが、改めて中国漫画配信プラットフォーム別作品ランキングをまとめました。前回のまとめは下記に残っていますので、良ければ1年という時間が経過して中国の漫画人気タイトルがどのように変化したか比較してみて下さい。

 

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 前回と同様に、三文娯がまとめたデータを基に整理したのが、下記キャプションの『中国漫画配信プラットフォーム別作品ランキング表(※2018年11月23日時点)』となります。前回はブックマーク数やレビュー数等もまとめておりましたが、手間がかかるので今回のランキング表からは割愛しております。

 

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 前回の投稿をご確認頂ければ分かると思いますが、1年という時間で意外とランクインしているタイトルの入れ替わりが発生しているんですね。テンセントにおいては2位の『灵契』、3位の『一人之下』の2タイトル以外のタイトル全てが入れ替わっています。

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中国政府初:2017年−2018年 IP評価レポート

 2018年10月25日、文化部、広電総局、新聞出版署並びに北京政府の主催により《第13回中国北京国際文化創意産業博覧会(※以下、北京文博会)》が北京において開催されました。なんでも、中国国内で最も格式が高く、権威のある文化活動と位置付けられているそうで、中国における文化産業、そして文化産業に対する中央の指導のシンボルとされているそうです。

 この北京文博会では、新華社の下部組織であるシンクタンクの暸望智庫が、北京文博会組織委員会と合同で中央政府機関として初めて文化産業(IP)を対象とするレポートを発表したそうです。

 レポートには中国オリジナルのIP産業に関する発展の歴史やその構造のあり方、あるいは今後の展望等が含まれており、昨今の中国IPを俯瞰するには好都合な内容となっております。

 その中でも特に筆者が注目するのは、この中央政府機関として初めて発表されたレポートのなかにおいて、個別IPがランク付けされている点です。詳細は下記キャプションの通りです。

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 ランキングに選出されたIPの形態は広く文学、漫画、ゲーム、映画、ドラマ、アニメ等から選出されており、個別IPの影響力や内容の魅力によって選出されているそうです。

 IPの形態別でみると、ネット小説5、小説4、ゲーム4、映画3、漫画2、アニメ1、ドラマ1という結果となります。意外なのは活字が主流となっていることと、文化とは相反する形態としてのゲームIPが4タイトルも選出されていることです。

 IPの発表時期でみると、トップ1にランクインしており、かつ同ランキング内で最も古く1963年に発表された《天龍八部》という小説から、2018年の大ヒット映画、中国語版ランボーともいわれる《紅海行動》まで幅広い時代が評価の対象となっています。

 ゲームに焦点を当てると、トップ4の《王者荣耀(KING OF GLORY)》は2017年の全世界におけるAppleStoreで売上トップとなっており、AppleStore、GooglePlayを合算した月商が約350億円とも推定される怪物級のモバイルゲームですね。全世界でのダウンロード数が約2億ということで、中国オリジナルIPと謳うに相応しいタイトルですね。

 そういえば、この《王者荣耀(KING OF GLORY)》の国際版である、《AOV(Arena of Valor)》は無料で任天堂Switchでダウンロードしてプレイすることが出来ます。

Nintendo Switch|ダウンロード購入|Arena of Valor

 任天堂Switch版に加え、モバイルゲーム版も日本のパブリッシャーが事前登録の受付を開始したそうなので、興味があれば試してみるのもいいかも知れません。

https://www.arenaofvalor.jp/

 トップ6の《夢幻西遊》は《荒野行動》や《Identity5》でお馴染みのNeteaseがパブリッシュするMMORPGのモバイルゲームですね。

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 《夢幻西遊》は元々PC版でしたが、モバイル移植してもその人気は衰えずセールス&ダウンロードでトップ3という成績を誇ります。ちなみに、トップ4の《王者荣耀<KING OF GROLY>》はトップ1です。抜群に他を引き離してのトップ1です。

 話しを漫画に移すと、トップ15にランクインしている《狐妖小红娘》と、トップ19の《一人之下》は何もテンセントが保有するタイトルとなっていますね。

狐妖小红娘-狐妖小红娘在线漫画-在线漫画-腾讯动漫官方网站

一人之下-一人之下在线漫画-在线漫画-腾讯动漫官方网站

 無料で閲読出来るので上記ご興味があれば是非どうぞ。ちなみに何れのタイトルも日本でアニメ化されており、MXでOAされた実績がありますね。また、何れのタイトルもテンセントによってモバイルゲーム化されており、近いうちパブリッシングされる可能性もあります。ちなみにアニメを制作したのは日本に拠点を置く中国のアニメ制作会社《絵夢》ですね。

www.youtube.com

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 如何でしたでしょうか。メイントピックの漫画から横道に逸れる内容となってしまいましたが、中国IPを俯瞰することは出来たかと思います。またの機会に、同レポートでも言及されていたIP評価基準の紹介や、その他タイトルの紹介も出来ればと思います。それでは皆さま良い週末を。